当院の内視鏡検査の取り組み

内視鏡検査とは

内視鏡検査

内視鏡とは、「人間の身体の中を何らかの器具を使って直接観察する」ために作られた医療機器です。ファイバーの先端にレンズがついており、耳、鼻、尿路といった体中の穴を通すことで内視鏡による観察が可能です。中でも消化器に関しては、口や鼻、肛門を通じて食道、胃から大腸までを観察でき、病気の診断・治療に大きく役立っています。

実は内視鏡の歴史は古く、約140年前にさかのぼります。当時は、直径13mmの硬い内視鏡という今では全く考えられない太さのものを曲芸師のように口から入れて、観察が行われていました。その後、消化器内視鏡は大きく進歩・発展を経て、画像はより精細に、内視鏡はより細くなって医療の世界での実用性が高まり、世界に広く普及しています。

また、当初は「視る」だけだった内視鏡ですが、現在では径2~3mmの穴を通じて組織を採取して「診断」したり、機器を挿入して「治療」することも可能になっています。

その結果、消化器内視鏡によって消化器の病気を「早い段階で」「正確に」診断し、初期の治療を行えるようになっています。この内視鏡治療も日々進歩しており、「がん」も内視鏡で早期に発見できれば、「内視鏡で治療」できる時代になっており、現在の消化器の医療は。内視鏡無しに成立しないとされています。

40歳になったら定期的に検査を受けましょう

40歳になったら定期的に検査を受けましょう

食生活の変化などにより、最近では日本でも胃がんや大腸がん患者が増加しています。特に大腸がんの増加は著しく、国立がん研究センターの統計では、2015年の部位別がん患者数の第1位は「大腸がん」になると予測されています。また、ここ数年のがんによる死亡率の統計では、女性のがん死亡率の第1位が「大腸がん」、「胃がん」は第3位であり、男性においても、「胃がん」が2位、大腸がんが3位になっています。

特に40歳以降は、男女ともにガン罹患者数が急増するため、40歳になったら一度内視鏡検査を受けることをご検討ください。
大腸がんは早期に発見すれば、命を落とすことがほとんどない病気です。それにもかかわらず、女性の大腸がん死亡率が増え続けています。その最大の理由は、40歳以降に定期的な大腸内視鏡検査を受けていただけないことです。

当院の特徴

精確な診断と的確な治療

現在の消化器の医療は内視鏡無しには成立しないと言われています。それは、消化器内視鏡が病気を「早い段階で」「正確に」診断することが可能であり、「がん」であっても早期に発見できれば、「内視鏡で治療」できる時代になっているからです。

こうした内視鏡検査や治療の進歩は、手法などの洗練と内視鏡の進歩によりもたらされたものです。そのため当院では、患者さんのお身体により負担なく、正確で高度な検査と治療を行えるよう、最新の内視鏡機器を導入しています。

最新細径内視鏡

最新細径内視鏡

お身体に負担をかけないよう、当院では最新の細径内視鏡機器を導入しています。これはただ細いだけでなく、高精細な画像を得ることができ、組織を取って「診断」したり、機器を入れて「治療」することも可能です。

特に経鼻内視鏡(FUJIFILM EG-L580NW)では、カメラの太さも先端部が5.9mmとかなり細いのですが、経口内視鏡用の高性能レンズが採用されており、経鼻スコープの視野角が120°から140°に拡がっており、さらに約1.5倍の大画面で画像観察も可能です。

LASEREOシステム

当院の内視鏡検査では、FUJIFILMの「LASEREOシステム」による異なる波長の光を用いることで診断能力を高めています。このシステムには、レーザー光源装置として白色光用とBLI(Blue Laser  Imaging)用の2つの波長のレーザーが搭載されています。 2種類のレーザーの発光強度比を変え、「通常」「BLI-bright」「BLI」「LCI」という4つの観察タイプに切り替えることができ、組織のコントラストが高まることで、従来の観察に加え粘膜表面の微細な血管や粘膜の表層の構造を観察することが可能です。
さらに撮影した画像を赤色領域のわずかな色の違いを画像処理で見やすく表示する「LASEREO」用の特殊光色彩強調機能「LCI(Linked Color Imaging)」利用により、粘膜のわずかな色の違いを強調でき、正常な粘膜と炎症のある粘膜を見分けやすく、胃の粘膜の萎縮の度合いも診断しやすくなっています。

発光強度で切り替えられる観察タイプ

2種類のレーザーの発光強度比を変えることで、白色光観察と狭帯域光観察それぞれに適した光を照射し、画像処理との組合せによって観察タイプを切替えて使用できます。

目的に適した観察タイプを選択

白色光観察からLCI観察へ切替えてBLI観察の拡大へ

大腸内視鏡

当院で導入している大腸内視鏡であるFUJIFILMの「EC-L600MP7」は、カーブトラッキングや高追従性という機能を持っています。先端が軟らかく、腸管のカーブに沿ってスムーズに曲がるだけでなく、手元の操作が伝わりやすいため、痛みや不快感を大きく軽減することが可能です。また、スコープ軟性部の硬さを任意に調整できる硬度調整機能を搭載し、スコープ先端部を大腸の深部までスムーズに挿入でき、大腸の内視鏡検査において患者の身体的苦痛の軽減が期待されます。 さらに先端部が以前の11.7mmから11.1mmとさらに細くなりながらも、高解像度・高画質という高い観察能力を保持しているので精緻な観察を短時間で行うことが可能です。

苦痛のない内視鏡検査のために

当院では、患者さんが苦痛なく内視鏡検査を受けられるよう、さまざまな工夫を行っています。

特長1、熟練した内視鏡専門医師

当院の診療方針は、「自分や家族が検査を受ける時にはこういう風にしてほしい」と思うことを、そのまま患者さんにしてさしあげることです。院長の私がかなり以前に口から行う経口内視鏡検査を受けた時、嘔吐反射が強くてかなり苦しい思いをした経験があります。その後、鼻から行う検査を受け、あまりにも楽なことに衝撃を受けました。

ですから、当院では胃の内視鏡検査を経鼻で行っています。また、大腸内視鏡に関しても同様に、自分が検査に携わってきて感じた事、自分が検査を受けたときに感じたことから、患者さんの苦痛や不快感を最大限に抑える検査方法を採用しています。

特長2、最新内視鏡を完備

小さな目立たない病変も見逃さない高度な観察が可能であるだけでなく、最新の内視鏡は、検査に伴う不快感をより軽減できるものとなっています。挿入する先端部が細く、微妙な角度の調整が可能であり、拡大や光の波長を変えることで精緻な観察を素早く行えるため、検査時間も短くなっています。当院では、こうした機能を備えた最新の内視鏡を導入しています。

特長3、鎮痛剤の使用

はじめて検査を受ける方や、他院で以前とても苦しい検査を経験された方には、大腸内視鏡検査に関しご不安が強いケースがよくあります。リラックスしていたら痛みや不快感がありませんが、不安により検査時に緊張してしまうと、腸管が硬くなってしまって挿入が困難になりやすく、さらに痛みに敏感になってしまいます。

そうした懸念がある場合、当院では「鎮静剤」を使う検査をご提案しています。これは点滴から「鎮静剤」を投与することでウトウトしている間に検査を行う方法です。眠ってしまう方も多いのですが、声をかければ目が覚めるレベルです。

特長4、大腸内視鏡の挿入法:浸水法を採用

当院では、挿入時の苦痛をなるべく減らすために、浸水法という挿入法を行っております。大腸内視鏡の際に腸管に空気を送り込むことが苦痛の原因となるため、当院では無送気にて挿入を行いますので、患者様への負担も軽減できます。

特長5、内視鏡用炭酸ガス送気装置(UCR)の使用

内視鏡用炭酸ガス送気装置(UCR)の使用

大腸内視鏡検査では、通常は空気を注入して腸管内を十分に観察しています。そして、検査中にポリープ切除を行う場合は、検査時間が長くなり、同時に注入する空気も多くなってしまいます。このことで、検査中や検査後もお腹が張って苦しいことがよくあります。うまくガスが出たら楽になりますが、ガスを出すことに抵抗を感じる方も少なくありません。

このお腹の張りを軽減するたに、当院では、腸管内を観察する時に空気の代わりに炭酸ガスを送気しています。炭酸ガスは生体吸収性に優れているため、検査後も大腸にガスがほとんど残りません。そのため、検査後の苦痛を大幅に軽減することができます。

安全にうけていただくために

生体監視モニター

当院では、患者さんに生体監視モニターを装着して内視鏡検査を行っています。これは、検査の始まりから終了するまでの間の血圧測定・脈拍・酸素濃度を自動測定するもので、検査中の呼吸状態・心拍状態を常に把握することでより安全な検査を行っています。

最新式内視鏡洗浄機

最新式内視鏡洗浄機

内視鏡は精密機械のため高圧煮沸できませんので、本当の意味で「無菌」にするのは不可能ですが、専用の内視鏡洗浄機と薬液で消毒することで無菌に限りなく近づけるようにしています。当院ではFUJIFILMのESR-100という専用の洗浄機を用いています。
洗浄の際には、高水準消毒剤である過酢酸を用います。

過酢酸は、市販消毒薬のなかではもっとも強力な抗菌効果を持った消毒薬であり、すべての微生物に有効であるだけでなく、ウイルスや結核菌、枯草菌の芽胞を短時間で殺滅可能だとされています。過酢酸は、グルタラールやフタラールと異なり、蛋白を凝固させないという利点もありますので、器材への蛋白凝固も生じません。

原則器具は使い捨てです

院内感染を防ぐために、組織検査やポリープ切除をおこなう器具の処置具も使い捨てにしています。国内ではまだ、処置具を消毒して再使用するのが普通ですが、米国では「使い捨て」が標準になっています。

処置具は粘膜を傷つけますからメスや注射針と本質的に同じで、内視鏡本体よりも遥かに厳しい消毒が必要ですが、当院では処置具も「使い捨て」を標準にしています。毎回新しい器具を使用する方が絶対に安全だからです。これにより、患者さんの間での院内感染を予防します。

メスや注射針はどこの医療機関でも一回使用したら捨てますが、処置具を消毒して使いまわすのは、メスや注射針を使いまわすのと変わらないリスクがあると考えています。

処置具をいくつかご紹介すると、左が胃や大腸の組織を採取するための生検鉗子という道具です。右側は大腸ポリープを根元から切除する道具のスネアです。FUJIFILMの製品である生検鉗子やスネアは、下のように滅菌されているパックから使用直前に開封して取り出して使用し、その方の検査が終われば廃棄します。ちょっともったいないようにも思いますが、毎回新品を用いますので使い勝手に問題が起こることもありませんし、何より絶対に安全です。

日帰りポリープ切除対応

特殊な例外はありますが、ほとんどの大腸がんはポリープから発生します。このポリープは内視鏡で切除することができます。ポリープを切除してしまえば、理論的に大腸がんは100%近く予防できることが分子生物学的に証明されており、大腸内視鏡は早期発見よりも、予防的治療を目指すものになっています。

当院の内視鏡検査でポリープが見つかった場合には、基本的にその場で切除をお勧めしています。このことによって、患者さんの時間的、身体的なご負担を大きく軽減しています。

ただし、2cm以上のポリープや、ポリープの数が多い場合、血液をサラサラにするお薬を内服しているなど、すぐに切除することができないケースもあります。

ポリープの切除を受けた場合、出血予防のために検査後1週間は、飲酒、運動、旅行、出張を控えていただきます。1%未満とまれですが切除後に出血することがあり、その場合には再度内視鏡による止血を行うこともあります。こうした万が一の場合に備えて、当院ではポリープ切除を受けた患者さん全員に院長直通の電話番号をお伝えしています。

オフィシャル痔の専門サイト