大腸カメラでわかる病気

大腸がん

大腸に発生し、周囲の組織に浸潤や転移を起こす悪性の腫瘍が大腸がんです。進行具合(広がり)を5つに分かれたステージで表し、ステージ0は進行度が最も低く、Ⅰ・Ⅱ・Ⅲの順に進行度が高まり、ステージⅣが最も進行度が高い状態です。治療方針を立てる上でもステージを正確に予測することが重要になっています。

早期大腸がんでは症状がほとんどありませんが、進行すると血便、便秘、下痢、便が細くなる、下血、貧血、しこり、腹痛、腸閉塞などが現れます。大腸がんは最初、ポリープの形で出てくるケースがとても多く、ポリープの段階で切除してしまえばがんに進むことはありません。ポリープを放置してある程度のサイズになると一部にがん細胞が混じってきて、後に全部ががん細胞に置き換わるという経過をたどるため、ポリープを切除することは大腸がん予防のためにとても有効です。

そして内視鏡検査では、その際に見つけたポリープのほとんどをその場で切除することができます。そのために、症状が現れる前の定期的な大腸内視鏡検査が重要なのです。

大腸ポリープ

大腸ポリープは一種の「できもの」であり、腸壁からイボ状やキノコ状に盛り上がった状態です。種類には、過形成性ポリープや炎症性ポリープ、腺腫などがありますが、その約80%は腺腫であり、大腸がんへ移行する可能性があるので注意が必要です。

腺腫は大腸がんの前がん病変とされており、腺腫の腫瘍径が5mmを越えると7%に、10mmを越えると約25%に、20mm以上では約35%に、がんが認められるため、5mm以上のポリープは切除が望ましいとされ、5mm以下の場合も、凹んだ腺腫である表面陥凹型はがん化率が高いため、切除が必要です。いずれの場合も、ほとんどが内視鏡下での切除が可能です。

内視鏡による大腸ポリープ切除を受けた場合、1~2年後に大腸内視鏡検査での経過観察を受けると安心です。ポリープがあった場合、検査で見えないほど小さなポリープが大きくなっている可能性があり、それ以上放置するとがん化するリスクがかなり高くなってしまうからです。

潰瘍性大腸炎

比較的若年層の10代後半から30代半ばにかかることが多く、近年、急速に日本人に増えてきている病気です。血便・下痢・腹痛・発熱などが代表的な症状ですが、進行すると粘膜が深くえぐれて大腸に潰瘍が多発し、大量の出血が起こります。症状が一時的に軽快しても、しばらく経つとぶり返すことが多いため注意が必要です。

潰瘍性大腸炎の原因は、自分の大腸粘膜に対して異常な抗体ができてしまい、自分の体である大腸粘膜を攻撃することだとされています。潰瘍性大腸炎は内視鏡で観察すると特徴的な像を示すため、正確な診断には大腸内視鏡検査が必須です。

治療では、粘膜面の炎症を抑える薬を中心に、5-アミノサリチル酸製剤、ステロイド製剤、免疫調節剤、白血球除去療法、生物学的製剤などを組み合わせ、直腸炎型~全大腸炎型といった病変の広がりに合わせて内服や、肛門からの注入など、投与方法を変える必要があります。

完全に治すことが難しい疾患ですが、治療を継続する事で症状が静まり、普通の人と同じ状態で生活することが可能です。そして、潰瘍性大腸炎は発症から10年以上経過すると、炎症粘膜を背景にがんが発生することが増えるため、治療を継続して粘膜が治癒した状態をなるべく長く保つことが重要になってきます。気長に治療していきましょう。

クローン病

原因不明の慢性大腸疾患で、10~20歳代の若年者に多く、男女比では2:1で男性に多くなっています。口から肛門まで全消化管のどこにでも起こりますが、小腸と大腸に多く、小腸型、小腸大腸型、大腸型に分類されます。症状では、下痢、腹痛、痔瘻(あな痔)や皮垂などの肛門病変、体重減少、発熱などが起こります。

痔瘻や皮垂などの難治性肛門病変は腸管病変に先行して見られることがあるせいか、肛門科で診断されるケースも多くなっています。食生活の欧米化により日本でも増加しており、罹患者数は2014年に4万人に達していますので、珍しい病気ではありません。診断には、大腸や胃の内視鏡検査を使いますが、小腸内視鏡検査が必要な場合もあります。

治療は栄養療法、薬物療法を中心に、内視鏡的拡張術や外科手術が行われる場合もあります。重要なのは栄養療法で、糖分やタンパク質を小さな分子まで分解したジュースを服用する成分栄養と脂肪制限を行う方法です。
薬物療法では、ペンタサ、サラゾピリンなどのアミノサリチル酸製剤や免疫調節剤、ステロイドが使われています。また、最近は生物学的製剤が、中~重度の活動期の患者さんや外瘻を有する患者さんに高い治療効果を出していると報告されています。

感染性腸炎

細菌やウイルスが腸内で増殖することによって起こり、症状として下痢や腹痛、発熱、下血などが起こります。
夏季には細菌(カンピロバクターやサルモネラ菌など)が、冬季にはウイルス(ノロウイルス、ロタウイルス)が多く見られ、小児や高齢者では重症化しやすくいため注意が必要です。以前、O-157による腸管出血性大腸菌感染により、多数の高齢者の死亡例が報道されたことを記憶されている方も多いと思います。

なお、2012年4月から、ノロウイルスの迅速検査キットを用いての検査が保険適用になっています。これは便を用いた検査で、保険が適用されるのは、3歳未満と65歳以上、そして臓器移植後や悪性腫瘍のある人などの免疫力の低下した人となっています。

治療の前にまず便の細菌培養を行い、原因となっている菌を調べます。軽度の場合には整腸剤や抗生物質などを服用し、十分な水分を摂取することで改善します。それ以外の場合は、入院して絶食し、点滴治療を行う必要があります。
下痢や発熱などの症状が長期間続く場合には、潰瘍性大腸炎など感染性腸炎以外の病気が疑われるため、大腸内視鏡検査で正しい診断を行う必要があります。

虚血性腸炎

突然の強い腹痛とその後の下痢、下血といった症状がある、腸管の急性循環障害です。高齢者では動脈硬化が原因であることが多く、若年~中年では便秘が関与しているとされるなど、年齢によって原因が変わってくる病気です。一過性、狭窄型、壊死型があり、壊死型以外はほとんどが保存的に軽快します。

大腸憩室症

筋層の血管が通る隙間に大腸粘膜がポケット状に脱出した状態が大腸憩室と呼ばれます。これは4人に1人に見られるほどありふれていて、ほとんどは無症状です。ただし、憩室炎という炎症を起こして腹痛、発熱が症状として現れる場合があります。炎症が起きたら抗生剤による治療が必要です。以前は入院治療が主でしたが、現在では外来でも治療できることが多く見られます。炎症により憩室出血がある場合、下血も症状として現れる場合があります。

過敏性腸症候群

がんや炎症性腸疾患などの器質的疾患がないにも関わらず、腹痛や腹部膨満感、下痢や便秘を繰り返す疾患で、4つのタイプに分類されます。10~40歳代の若い方に多いとされてきた疾患ですが、最近では中高年にも増えてきており、人口の10~20%に症状がみられるとされています。
ストレスや不安によって症状が誘発されることで不眠や頭痛、食欲低下などお腹と直接関係のない症状が出ることもあります。
問診だけで診断できることもありますが、やはり内視鏡検査で他に異常がないことを確認することが重要です。

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